由緒沿革
真言宗は、9世紀の初め、弘法大師「空海」によって開かれ、東寺・高野山を中心に広められた。平安の末期に興教大師「覚鑁」によって、さらに新しい力が吹き込まれると、和歌山県岩出市に根来寺が創建された。
鎌倉時代には、 頼瑜僧正によって新義真言の教えが確立される。宗団は根来寺を中心に栄えるが、戦国時代の戦渦により、専誉僧正をはじめ多くの僧侶が根来寺を離れることになる。
その後、豊臣秀長公によって奈良県桜井市初瀬の長谷寺に招かれた専誉僧正は豊山派をおこす。長谷寺は学山として栄え、豊山派の派名は、長谷寺の山号「豊山」に由来する。
本尊(大日如来)
真言宗は、根本の本尊を大日如来とする。大日如来は、宇宙の真理そのものを自らの身体とする絶対的な仏様。この世のあらゆるものは、すべて大日如来の現れで、阿弥陀如来や薬師如来、観音菩薩や地蔵菩薩といった諸尊もみな、大日如来が衆生を救うために、すがたを変えて現れた仏様。それぞれの仏様は、大日如来のひとつの智慧、ひとつの徳を表している。
真言宗のお寺は、大日如来以外の仏様をご本尊としているところが多い。それは、大日如来が人々の求めに応じて、もっともふさわしい仏様となって現れるからである。如来と名のつく仏様は、質素な袈裟をまとわれるだけで、華美なすがたはしてない。しかし、絶対的な存在である大日如来は例外で、きらびやかな装身具で身を飾り、仏様の王者としての威厳を示している。
大日如来には、慈悲の仏様である胎蔵界大日如来と、智慧の仏様である金剛界大日如来がいる。
教義
真言宗は即身成仏と密厳国土をその教義とする。教理として、4つ。六大(六大縁起)の教え、 曼荼羅の教え、三密修行と即身成仏が有る。教学として、大日経と、金剛頂経の2つで教えが説かれる。