タイ国にて日泰合同慰霊法要に参加
令和7年5月12日から16日にかけて、真言宗豊山派茨城県布教師会(会長:山岸聖弘師(筑西市 延命寺住職))主催による海外(タイ)慰霊法要が行われ、当山の住職も同行しました。
2009年から始まり今回で4回目となる本法要は、タイ国カンチャナブリにある慰霊碑の前で行われ、日本の僧侶12名・タイの僧侶5名の総勢17名が参列しました。この慰霊碑は、映画「戦場にかける橋」で世界的に知られる泰緬鉄道のクウェー川鉄橋近くにあります。タイからミャンマーにかけて415キロを結ぶ泰緬鉄道は、第二次世界大戦中に日本軍主導のもと建設されました。建設には連合軍の捕虜やアジア人労働者が動員され、過酷な労働環境ゆえに多くの犠牲者を出したことでも有名です。鉄道建設に関与したイギリス・オランダ・オーストラリアの捕虜労務者や日本軍兵士など、数万にのぼる墓のない人々の冥福を祈るため、日本人によって慰霊碑が建てられました。
法要では両国の僧侶が両国それぞれのお経を一緒に唱え、地元の方々に参列して頂きました。法要の終盤、僧侶が散華を撒くと地元の方々が一斉に拾い、国は違えど同じ仏教ですので、日本で執り行う際と同様に僧侶と参列者が一体となって慰霊を願い法要を終えることができました。
コロナの影響もあり、今回は約7年ぶりのタイ訪問となりました。入国手続きや街の様子など、様々な場面で以前とは異なる光景に出くわし、その都度時代の変化や技術の進歩を感じました。しかしカンチャナブリ慰霊碑の前に立つと、以前と変わらず綺麗に整われお花と供物が添えられ、時の移ろいに関係なく地域の方々が日々お参りし慕っている姿が目に浮かびました。時代によって犠牲になった方々を偲び建立された慰霊碑の前で時代も国籍も関係なく絶え間ない祈りが続いている、そうした姿を今の不安定な時代を生きる人々が示していることに誇らしくも嬉しくも思い、また今回その一員としてお参りできたことに喜びを感じました。
なお、今回の慰霊訪問の期間中は天候が芳しくないとの前情報でしたが、見事に的中し、到着日の5月12日、バンコクのスワンナブーム空港へ到着目前で大変な大雨(スコール)に見舞われ空港が閉鎖、別の空港への着陸を余儀なくされました。その後、様子を見ながらスワンナプーム空港へと戻りましたが約4時間遅れの到着となり、当初予定していたワットサケット寺の住職との面会は出来ませんでした。2日目は、ワットチャイ寺にて慰霊法要の打ち合わせ、その後カンチャナブリの慰霊碑の前で日泰合同法要を行う予定でしたが、朝から大雨。当初の予定を変更して法要はワットチャイ寺の本堂を借りて行うことも考えましたが、現地へ到着すると不思議と雨が止み晴天となり、予定通り慰霊碑の前で法要を行うことができました。これも私たちの行いをお釈迦様とお大師様が見守ってくれたおかげであると参加者一同感激した次第です。その後、バンコクへと戻り昨日行けなかったワットサケット寺を訪問、この日は住職がいない予定でしたがたまたま会うことができ、前住職の廻向法要も行うことができました。
その後の日程でも、朝は大雨でも訪問先へ到着する頃には雨が止み予定していた行事を全てこなせ、また、予定にはなかったワットポーの住職にも面会することが出来、千葉県成田市にタイの寺院を建設することなど様々な話を聞くこともできました。悪天候の中大きな予定変更もなく有意義な時間を過ごせた上に全員無事帰国でき、やはり何かに守られていると感じずにはいられない慰霊訪問となりました。